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2006年の『Juno Reactor伝説』 Juno Reactor live -Audio Visual Experience-

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Text by nickcage (Trance Disk Hunter)

 1994年、東京・王子の「3Dクラブ」に降臨し、100人程度の聴衆をノックアウトした初来日ライブ以来、日本のパーティシーンにあまたの“伝説”を提供しつづけてきたJuno Reactor。
 ある年は豪雨のキャンプ場で、またある年は大雪に見舞われた都心の大ホールで……。デジタル音と楽器の生音が交錯することで、どの曲もスタジオテイクとはまた違った表情を見せ、毎回ツアーメンバーが少しずつ入れ替わり、セットリストも日ごとに微妙に変えてゆくことから「同じステージは2度とない!」とまで言われ、そのダイナミックなステージが熱狂的ファンを増やしてきた彼らの、待望の日本ツアーが発表された。

 とはいえ「ひと晩で最低3回は「Conga Fury」(96年のJunoのヒット曲)がかかった!」という約10年前のパーティ界隈ならいざ知らず、いわゆる2001年以降にパーティデビューしたような若い読者の皆さんは、そこまで実際のフロアで「Junoのキラーチューンにヤラレまくった」体験も、多くないはず。
 たしかに「Pistorelo」(99)くらいは、みんなも聴き覚えがあるだろう。だけど、それだって映画『レジェンド・オブ・メキシコ』の挿入曲として、テレビでガンガン流れていたせいかもしれぬ。
 Stephen Holweck(Total Eclipse)、Johann Bley、Mike Maguireといった、初期ゴアシーンに欠かせないクリエイター&DJを黎明期のメンバ−に擁し、YouthやAlex Pattersonといったテクノ長老派とも縁が深いことも手伝って「Juno Reactor=サイケデリックトランスの重鎮」的な公式も(ことオールドファンを中心に)すっかり定着して久しい。だが、その一方で、近年のJunoサウンドが、いわゆるフロアユース一辺倒では収まらぬ、拡がりと深みをみせていることもまた事実。

 実際のところ、現時点での最新アルバム『Labyrinth』(04)を改めて聞き返してみると分かるのは、もはや(実質的リーダー)Ben Watkinsの志向している音楽性は、いわゆるトライバルかつアシッディなダンス・ミュージックの段階を突き抜け、「よりハードで、グランジで、ロックっぽい」方向性を向いている(本誌Vol.07収録のBen Watkinsインタビューを参照あれ)。
 映画『マトリックス』の世界観にチューンインしたかのごとく、『Labyrinth』収録曲の多くに充満したトーンは、ゴスでダークでトライバルなサウンドスケープ……。決して「踊れない」というわけではないが「躍らせる」為の音楽から「感じさせる」音楽へ、Junoサウンドがさらなる発展を遂げていることは間違いない。
 その兆候は、前回(2005年2月)のサマーソニック&東京単独公演でのライブステージからも十分感じられた。Johann以来、久々にパーマネント・ドラマーとしてツアーに参加したGreg Ellisの存在は、『Shango』(00)において完成をみた“Benのエレクトロニック+Mabi Thobejane & Amampondoのパーカッション”というスタイルから、さらにロックビート的なパフォーマンスへのシフトを思わせるものだったからだ。

 そして今回、通算8度目になる2006年の日本公演において、これまで世界中のどこでも披露されたことのない豪華特別ツアーメンバーによる“Juno Reactor Live―Audio Visual Experience―”がアナウンスされた。MabiAmampondoGreg Ellisといった打楽器部隊、ならびに(エスノトランス・ユニットSunkingsでも美声を披露した)女性ヴォーカリストTaz Alexanderは、前回同様のエントリー。
 さらに今回は、彼(女)らに加えて、Asian Dub FondationやAfrican Headchargeとの共演でも知られる男性ボーカリストGhetto Priest(ニューシングルの『City Of The Sinful』にも参加)が、そして初期ゴア時代はGeneticやVoodoo People名義で活躍し、「Magnetic」や「Komit」といったJunoの“隠れ名曲”の共作者でもあるPaul Jacksonがベーシストとして参加。そしてそして、かの名曲「Pistorelo」のスパニッシュギターを担当し、かのBilly Idolバンドのフロントマンとしてヘヴィメタルファンからも人気の高い超絶ギタリストSteve Stevensの名前も!
 また、コンパイルCD『Solstice Black Compilation #2』がリリースされたばかりのXavier Morelが、ツアーDJのみならず、ライブにも参加するという(本誌別稿のXavierインタビュー参照)。
 ……と、何やら強力なサポートメンバーを紹介するだけで紙幅が尽きたが、御大Ben Watkinsもまた、電子機材を駆使し、自らも黒のレスポールを抱えて、みんなの大好きなギタートラックをかき鳴らしてくれるだろう。2006年のJuno Reactorをお見逃しなく!

■Juno Reactor 2006 Live―予習ディスク、ツアーメンバー篇

Junoの全アルバムを聴き返しておくのは当然のこと、ここではツアーメンバーにも関心ある向きのために、5枚ほどアルバムを選定した。

1●STEVE STEVENS : Atomic Playboys (1989/Warner Bros.)
2●SUNKINGS (TAZ ALEXANDER) : Soul Sleeping (1998/Blue Room Released)
3●GENETIC (PAUL JACSON) : We Are Genetic (1998/Dragonfly)
4●V.A. (mixed by XAVIER MOREL) : Dust & Wind (1999/Equinox)
5●AMAMPONDO : Electric Pondoland (2005/M.E.L.T. 2000)

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